最高裁平成21年7月17日判決:過払い金ゲットサイト〜本人訴訟で過払金請求〜


最高裁平成21年7月17日判決

これは、
「5%利息は過払金発生時から支払う」とした
最高裁平成21年7月17日判決をリライトしたものです。

ポイントは2つ。

1つめは、一連取引を認めていること。

2つめは、
「貸主が悪意の受益者である場合における民法704条所定の利息は、過払金発生時から発生する」
としていること。

利息については、
「過払金発生時」が主流ながら、「取引終了時」とする判決もあり、
下級審でも判断が分かれていましたが、
今回、最高裁でハッキリと判断されました。

当たり前と言えば当たり前なのですが、やはり嬉しいですね♪

判決原文については、
「旬刊金融法務事情 No.1875 2009年8月25日号」
をご覧下さい。

↓↓↓↓↓↓ ここから 判決 ↓↓↓↓↓↓

平成21年7月17日判決言渡
平成20年(受)第2016号不当利得返還請求事件

上告人 弁護士
被上告人 シンキ株式会社

【主文】

 1 原判決を次のとおり変更する。

 第1審判決を次のとおり変更する。

 (1)被上告人は、上告人に対し、71万9353円及びこれに対する平成19年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)上告人のその余の請求を棄却する。

 2 訴訟の総費用は、これを3分し、その1を上告人の、その余を被上告人の負担とする。

●理由●

 上告代理人○○○○、同○○○○、同○○○○の上告受理申立て理由第3について

 1 本件は、上告人が、被上告人に対し、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引に係る弁済金のうち利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると、過払金が発生していると主張して、不当利得返還請求権に基づき、その支払を求める事案である。被上告人は、上記不当利得返還請求権の一部については、過払金の発生時から10年が経過し、消滅時効が完成したと主張してこれを争っている。

 2 原審の適法に確定した事実関係の概要は、次のとおりである。

 (1)被上告人は、貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律第115号により法律の題名が貸金業法と改められた。)3条所定の登録を受けた貸金業者である。

 (2)上告人は、平成2年4月17日、被上告人との間で、継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約1」という。)を締結した。

 上告人と被上告人は、同日から平成9年6月16日までの間、本件基本契約1に基づき、原判決別紙計算書(ただし、「2分割・前半」とある部分)記載のとおり、継続的な金銭消費貸借取引(以下「本件取引1」という。)を行った。

 (3)本件取引1における弁済は、各貸付けごとに個別的な対応関係をもって行われることが予定されているものではなく、本件基本契約1に基づく借入金の全体に対して行われるものであり、本件基本契約1は、利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超える利息の弁済により過払金が発生した場合には、弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意(以下「過払金充当合意」という。)を含むものであった。

 過払金充当合意に基づき、本件取引1により発生した過払金を新たな借入金債務に充当した結果は、前記原判決別紙計算書記載のとおりであり、過払金は47万1421円である。そして、被上告人は悪意の受益者であり、上記過払金に対する過払金発生時から平成19年11月30日までの民法704条所定の利息は24万6624円である。

 (4)また、上告人は、平成11年4月21日、被上告人との間で、継続的に金銭の借入れとその弁済が繰り返される金銭消費貸借に係る基本契約(以下「本件基本契約2」という。)を締結した。

 上告人と被上告人は、同日から平成19年3月16日までの間、本件基本契約2に基づき、原判決別紙計算書(ただし、「2分割・後半」とある部分)記載のとおり、継続的な金銭消費貸借取引(以下「本件取引2」という。)を行った。これにより発生した過払金は36万3447円であり、これに対する過払金発生時から平成19年11月30日までの民法704条所定の利息は1万7889円である。

 (5)上告人は、平成19年5月23日、被上告人に対し過払金を返還することを催告し、同年7月10日に本件訴えを提起した。

 被上告人は、本件取引1により発生した過払金に係る不当利得返還請求権のうち、平成9年7月10日以前の弁済によって発生した部分は、過払金の発生時から10年が経過し、消滅時効が完成していると主張して、これを援用した。

 (6)被上告人は、第1審判決後の平成19年11月30日、過払金返還債務の履行として、上告人に対し38万0028円を支払い、上告人は原審において請求を減縮した。

 3 原審は、前記事実関係の下において、次のとおり判断して、上告人の請求を3955円及びうち3046円に対する平成19年12月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の限度で認容すべきものとした。

 金銭消費貸借取引において生ずる過払金に係る不当利得返還請求権(以下「過払金返還請求権」という。)は、法定の原因によって発生する債権であり、発生した時点から行使することが可能であるから、各個別取引によって過払金が発生する都度消滅時効が進行を開始すると解するのが相当である。本件取引1により発生した過払金返還請求権のうち、平成9年5月23日までの弁済により発生した過払金46万9683円及びこれに対する利息については、上告人が催告をして時効を中断した平成19年5月23日の時点で既に時効期間が経過していたから、時効により消滅した。

 残存している過払金返還請求権は、本件取引1につき2647円、本件取引2につき38万1336円の合計38万3983円であり、被上告人が弁済した38万0028円をこれに充当すると、残額は3955円である。

 4 しかしながら、原審の上記判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。

 過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、特段の事情がない限り、同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号247頁、最高裁平成20年(受)第543号同21年3月3日第三小法廷判決・裁判所時報1479号1頁、最高裁平成20年(受)第1170号同21年3月6日第二小法廷判決・裁判所時報1479号3頁参照)。

 前記事実関係によれば、本件基本契約1は過払金充当合意を含むものであり、本件において上記特段の事情があったことはうかがわれないから、本件取引1により発生した過払金返還請求権の消滅時効は、本件取引1が終了した時点から進行するというべきである。

そして、前記事実関係によれば、本件取引1がされていたのは平成2年4月17日から平成9年6月16日までであったというのであるから、消滅時効期間が経過する前に催告がされ、その6か月以内に本件訴えが提起されて消滅時効が中断したことは明らかであり、本件において本件取引1により発生した過払金返還請求権の消滅時効は完成していない。これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は、上記の趣旨をいうものとして理由がある。

 そして、前記事実関係によれば、本件取引1及び2により発生した過払金は合計83万4868円であり、貸主が悪意の受益者である場合における民法704条所定の利息は、過払金発生時から発生するから、平成19年11月30日までに発生した同条所定の利息は合計26万4513円であるところ、同日に被上告人が支払った38万0028円を利息、元本の順に充当すると、上告人の被上告人に対する過払金返還請求権は71万9353円が残存している。

 そうすると、上告人の請求は、71万9353円及びこれに対する平成19年12月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないから棄却すべきである。したがって、これと異なる原判決を主文のとおり変更することとする。

 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

↑↑↑↑↑↑ ここまで 判決 ↑↑↑↑↑↑
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